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2009年2月11日 (水)

機能不全に陥った自民党

 郵政民営化をめぐる麻生太郎首相の発言を聞いて、唖然としている国民、有権者は多いことだろう。麻生首相にはもともと宰相としての資質はなかったのだから、どんなとんでもない発言をしても「当然」と思えるのだが、こんな総裁にいつまでも付き合っている自民党議員には、よほど我慢強いのだと尊敬の念をいただかざるを得ない。もちろんこれは皮肉である。断っておかないと、今の自民党議員には称賛だと受け取られかねないので、あえて付言しておく。

 ことの発端は、麻生首相が郵政民営化に賛成じゃなかったと発言したことだ。麻生氏と言えば、郵政民営化を閣議決定した第2次小泉改造内閣で、「郵政解散」後に民営化法を成立させた第3次小泉内閣で、ともに郵政を管轄する総務相だった。

 確かに、麻生氏は郵政民営化に慎重で、民営化法案の骨子をつくる段階で、当時の竹中平蔵郵政民営化担当相が10年間の移行期間後に持ち株会社が郵貯会社と保険会社の株式をすべて売却するよう主張したのに対し、総務相だった麻生氏は一定の保有継続を求めた経緯がある。

 だからといって、民営化に賛成じゃなかったという言い訳は通用しないだろう。麻生氏は自らの良心に背いて、民営化法案の閣議決定に副署したのであろうか。だとしたら、政治家としての姿勢に問題があると言わざるを得ない。自らの主張に反する決定を政府がしようとしたら、潔く身を引くべきだったのではないか。それが政治家としての矜持というものだろう。

 もし、民営化に賛成しない麻生首相が政権に居座るとしたら、それは2005年の郵政解散における国民の選択を愚弄するものだ。麻生首相は2月10日、記者団に「(郵政民営化の)内容を詳しく知っていた方はほとんどいなかった」と発言したそうだが、国民が何も知らずに民営化に賛成したかの言いぐさは、政治家としておごりも甚だしい。

 今、参院で過半数がないにもかかわらず、野党が反対する法案を成立させることができるのは、衆院で三分の二という議席があるからではないか。それは紛れもなく、郵政民営化を掲げて自民党と公明党が勝ち取った議席である。郵政民営化を根本から見直すというのなら、「郵政民営化の抜本見直し」を政権公約に掲げて解散に打って出るべきであろう。そんなこともできずに、軽々に民営化見直しに言及すべきでない。

 また、かんぽの宿問題をことさら問題視している鳩山邦夫総務相は、郵政族の大ボス田中角栄元首相の秘書を務めた生粋の田中派議員である。鳩山氏がかんぽの宿をことさら問題化させている背景に、郵政族と組んで郵政利権を守ろうとする旧郵政官僚がうごめいていることは間違いない。次期総務事務次官レースで旧郵政官僚が復権を図ろうとしていることも絡んでいると見た方がいい。

 鳩山氏が総務相としてすべきことは、かんぽの宿の一括売却をめぐる国民の疑問を解消するような政策をとることである。総務相自らが疑問を吹聴するようでは、自らの職務を放棄しているとのそしりは免れない。

 とはいえ、問題はそのような発言を続ける麻生首相と、郵政族、郵政官僚の利権確保のために改革の流れを逆行させようとしている鳩山総務相の言動を、与党である自民党が止められないことだ。すでに政治秩序を維持しようとする意欲もエネルギーも失い、機能不全に陥っている。

 唯一の救いは、自民党の保利耕輔政調会長が、麻生首相の発言に「ちょっと口が滑っちゃったかなという感じがする。首相の真意は民営化をしっかりした形に作っていくということであり、党としても民営化を後退させることはできない」と述べていることだ。

 保利氏は郵政民営化に反対して離党した政治家だ。その彼が民営化を後退させることはできないと述べているのだ。目の前のことに汲々とする政治家が多くなった自民党にあって、大局観を示していると言っていいだろう。麻生首相も保利氏の爪の垢でも煎じて飲んだらいかがか。

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