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2008年12月の12件の記事

2008年12月26日 (金)

参考●当面の政治日程(2008年12月26日現在)

【2009年】
1月5日   通常国会召集
1月5日   2008年度第2次補正予算案・関連法案提出
1月6日   衆院代表質問
1月7日   参院代表質問
1月8日?  衆院予算委で審議開始
1月中旬   補正予算案・関連法案衆院通過
1月中旬   「経済財政の中期方針と展望」を決定
1月18日   自民・民主両党が党大会
1月19日   2009年度予算案・関連法案提出
1月19日? 麻生首相施政方針演説
1月20日   米大統領就任式
1月21-22日?衆院代表質問
1月22-23日?参院代表質問
1月28日-2月1日 ダボス会議
2月上中旬 予算案・関連法案衆院通過
2月中旬   補正予算案自然成立
3月上中旬 予算自然成立
3月中旬   補正予算関連法再可決・成立
3月中下旬 定額給付金を支給
4月2日   第2回金融サミット(ロンドン)
4月上中旬 予算関連法再可決・成立
6月3日   通常国会閉会
7月8-10日 主要国首脳会議(マッダレーナ、イタリア)
7月22日   東京都議任期満了
7月31日   イラク復興支援特措法期限
9月10日   衆院議員任期満了
9月30日   麻生自民党総裁が任期満了

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2008年12月25日 (木)

米大統領選講義ノート(4)その3完「日米同盟の再構築―日米安全保障戦略と米軍再編―」ケント・カルダーSAIS教授

(質疑)

Q.DPRI( Defense Policy Review Initiative)が行われない場合、日米同盟関係に大きな影響を与えるのではないか。

カルダー 大変微妙な問題だ。辺野古がどうなるのか。首脳レベルで取り決めたこと。それが12年たっている。何らかの形で決着する必要がある。再交渉することはさらに複雑に交錯することになると思う。技術的に手を入れることが可能かどうかなどの設問はあるが、再交渉が生産的とは思わない。技術的再調整が、取り決めの性格を変えることは非生産的だ。双方の信頼関係を維持することがなくてはならない。

Q.日米中の二等辺三角形は維持されるのか。

カルダー クリントン政権でジャパンパッシングがあったと確信しているようだが、フォーリー大使は個人的に、関心を深く持っていた。1998年11月にクリントン訪中があったが、クリントンの訪日は五回あった。オルブライト国務長官は、橋本龍太郎に公式訪問を要請したが、選挙で実現できなかった。日米関係はワシントンが中心。フォーリーの時代は東京ではなかなか報道されなかったが、クリントンが日本を無視していたというのは事実と違う。今回、財務長官は日本語ができるガイトナーになった。日米関係のエディター、新アーミテージになる。クリントンは環境、エネルギーに造詣が深い。リチャードソンも対日関係に関心が深い。ボルカーはトヨタの国際問題委員会を務め、行天の友人。ヒラリーになったからといって、日本が課題からなくなることはない。対日関心は変わらない。もっと全体像を見て、報道してほしい。ガイトナー、ボルカーがいることを忘れないでほしい。アーミテージ報告はアジアの安定を強く言っている。視点が幅広くなっている。

Q.オバマは歴史問題に関わるのか。

カルダー とても重要な問題だ。硫黄島の映画を見た。この問題は、日本の国家の意識、人々の価値観に迫る問題。それを尊重すべきだ。どう考えるべきかは言わない。歴史問題は日米でもデリケートな問題になりうる。過去の問題ではない。戦争ではいろいろなことがあった。私は言うつもりはないが、アジアでは状況が異なる。アジア系米国人が違った感想を持つかもしれない。米国の人口構成が変わっている。かなり急速に状況が変わっている。日本では理解されていないが。ブッシュ大統領はニュートラル。人の意思に関わる問題について、判断すべきでない。歴史問題の判断に、オバマは介入しないと思う。オバマはインドネシアを通して、アジアを見てきた。中国と言うよりも東南アジアに注目するのではないか。中国系米国人と対話するスタンスではない。歴史は、多くの人が懸念材料に挙げている。カリフォルニアでは関心を集める。過去よりも、この問題が焦点になるかもしれない。モラルではなく政治から見ると、デリケートな問題になるかもしれない。

Q.国連に対して、どういう方向に向かうのか。

カルダー オバマはグローバリストであり、国連重視を積極的にやっていく。ヒラリーも同じことが言える。国連に対する再認識も高まる。非常に重要なテーマだ。個人的には、日本は安保理入りすることが重要だ。日本側の課題は、国連の中でどう受け入れられるべきか、日本政府としてどういう選択肢を選ぶかが重要だ。米国としては、問題がないと思うが、その前にクリアすべき問題がある。日本が積極的になれば、オバマ政権では歓迎される。日米強化につながるかもしれない。日米が国連の場を使って、環境、文化面で一緒にやっていこうということはあり得る。

Q.在韓米運の指揮権返還は中期的にどう影響するのか。

カルダー 日本における米国のプレゼンス、日本に展開している兵力には、日本の防衛、基地防衛と、周辺事態という二つの意味ある。かなり幅広く役割を果たす可能性がある。日本の安全保障のニーズは、幅広くとらえる必要がある。日本は99%の石油をペルシャ湾経由で輸入しており、シーレーン防衛をサポートする。8000人が日本から減るが、周辺事態が起こったときは、日本に近いところで即応できる。ジョージ・ワシントンがよこすかに配備される。安保の性能は変わらない。変わるのはもう少し技術的な部分だ。海兵隊のプレゼンス、即応体制の能力、周辺事態の能力、必要ならより遠くで空母を展開する能力がある。

Q.日本はG20諸国との直接のパイプが細く、中国はG20の関係が深まっている。

カルダー 国際社会の構造そのものだ。G8がなくなることはないが、現実的にはグローバルな金融問題だ。中国は1兆5千億の蓄積を持っている資本輸出国だ。日本は重要だが、国際金融の重要性は増す。米国にとって金融面で重要性がある日本であり続ける。ユーロと比べれば、安定性は特記すべきものある。金本位制の時代でもそうだった。日本の重要性はぬきんでたものがある。しかし、重要性を増す国が増えたのも事実だ。二国間、G20の中で強化する必要がある。ガイトナーはそういう感性のある人。彼の経歴からいってもできる人だ。もう一つは、日本政治は安定の重要性を増している。今後1年から1年半、重要な時期だ。オバマ大統領が政策をつくる上で重要だ。課題は変わっている。金融の安定性、エネルギー、環境、BIG3の問題、エネルギー価格が上がっているからといって忘れられない問題だ。3つの問題で日本の役割は死活的に重要だ。日本が寄り積極的に提案してほしい。安保会議、NSC、構造づくりをやってきたが、これからも重要だ。民間の役割、政治的安定性、積極的姿勢を示してほしい。

(2008年12月1日、東京アメリカンセンターにて)

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ケント・E・カルダー博士【ジョンズ・ホプキンス大学高等国際研究大学院(SAIS)エドウィン・O・ライシャワー東アジア研究センター所長・教授】

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2008年12月24日 (水)

麻生首相の言語力(2)

 旧知の東照二(あずま・しょうじ)ユタ大学言語文学部教授が、教授を兼任する立命館大学の東京キャンパスで行った講演にお招きいただいたので、聴講してきた。東教授は「歴代首相の言語力を診断する」(研究社)などの著書があり、社会言語学の立場から、政治家の言葉を分析するユニークな研究者だ。

 今回のテーマは「アメリカ大統領選と言語コミュニケーション学」。東教授によると、言語は事実や政策、論理、ロジックを伝えるリポート・トーク(Report Talk)と、共感や感情、つながり、情緒を伝えるラポート・トーク(Raport Talk)に大別され、ラポート・トークの方が、聞く人を引きつけるのだという。

 例えば、副大統領によるディベートでは、「どちらが勝ったか」という調査に、バイデンと答えた人51%に対し、ペイリンは36%だったが、「どちらが好きな人物か」という質問ではこれが逆転し、バイデン36%、ペイリン54%だった。ペイリンは政策に弱く、ディベートには負けたが、その庶民的な言葉遣いで親近感を与えることに成功し、好感度では勝ったのだ。

 大統領候補のディベートはどうだったか。マケインは常にオバマに対して攻撃的な態度を見せたが、オバマは落ち着いた態度で応じた。マケインはオバマをファーストネームで呼んだことはないが、オバマはマケインに34回も「John」と呼びかけた(3回目のディベート)。結局、マケインは愛国的でいらだっている印象を与えたのに対し、オバマは分かりやすく、冷静で、大統領然とした印象を与えた。選挙結果は、オバマの大勝だった。

 ひるがえって、日本の政治家はどうか。「自民党をぶっ壊す」「人生いろいろ」などの名台詞を産んだ小泉純一郎首相はラポート・トークの話者であるのに対し、政策通である岡田克也民主党代表は典型的なリポート・トークの話者。両者がぶつかり合った2005年の衆院総選挙は、小泉自民党の圧勝に終わった。

 東教授は「岡田代表は、小泉首相の発言を『政策に中身がない』と批判していたが、小泉に優るラポート・トークができなかっただけ」と切り捨てる。

 政治家にとって言葉は命だ。その使いようで、出処進退を大きく左右するし、国を盛り上げることも衰退させることもできる。

 麻生太郎首相の場合、私の印象ではラポート・トークが過ぎて、軽薄な印象を与えているようにも見える。小泉首相が同じことを言っても、それほど悪印象を与えないだろうから、結局、言葉は人となり、なのである。

 ちなみに、10月15日の参院予算委員会での麻生首相の発言を分析すると、「少なくとも」を25回、「基本的に」を28回、「何となく」を12回も使ったそうだ。これらの言葉には特段の意味がなく、なくても文意は変わらない。

 麻生首相は漢字をたびたび読み間違い、その言語力には大いに疑問符がつくが、国民を引きつけたいなら、言葉を選んで発言したらどうか。記者団との質疑応答もぞんざいで、横柄な印象を与える。先のブログでも記したように、政治家には「説得責任」(persuadability)が必要だ。ぞんざいな言葉遣いでは、人を説得できず、その責任を果たすことはできない。

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2008年12月22日 (月)

Persuadability(説得責任)が問われている

 麻生太郎首相を取り巻く政治状況をみると、宰相をはじめとするリーダーには「説明責任」(accountability)はもちろん、「説得責任」(persuadability)が必要とされているように思えてならない。

 説得責任とは、文字通り、とろうとしている方針(政治の場合は政策)について、対象者(政治の場合は有権者、もしくはその代表である議員)に納得してもらうために必要とされる責任、能力である。説明責任が、「説明」に重きが置かれているのに対して、説得責任は、その結果、つまり説得して、納得してもらうところまでの努力、責任が求められている。ただの、言いっぱなしは許されないのだ。

 例えば、「私はこの政策について、説明責任を果たした」という発言には、「私は責任を果たしたのに、理解しない方が悪い」という本音が隠されている。つまり、相手が納得しなくても、それは相手の責任であり、自分には責任がない、という論法だ。

 しかし、特に国の重要政策について、説明責任を果たしただけでいいのだろうか。

 確かに、多様な意見がある民主主義では、有権者の意見が完全に一致することはない。極言すれば、一通り説明して過半数の理解を得れば、手続き的には完了していることになるが、それが今の日本政治の混迷を生み出したとは言えまいか。

 これまでの自民党の政治家は、国民の反発を買いそうなことは極力避け、国民への甘言で票を稼いできたが、それが巨額の財政赤字を生み出し、孫子の世代にまでつけ回ししなければいけない状況を生み出してきたことは否定できない。

 その中で、麻生首相が消費税率の三年後の引き上げに言及したことを、私自身率直に評価したいと思う。国家財政の将来を考えれば、税率引き上げは避けられないと思うからだ。

 同時に、麻生首相には「説得責任」の能力が欠けていることに失望もしている。

 自らの主張を実現するには、数あまたの障害を乗り越えなければならない。麻生首相の場合、まず与党内の障害(公明党)、国会内での障害(野党)、有権者の間にある障害(反対意見)だ。消費税率を引き上げるには、これらの障害を一つずつ乗り越えていかねばならないが、与党内に確たる政権基盤もない、国民の高い支持を得ているわけでもない麻生首相には、手を付ける以前に退陣する可能性が大きいことは別にしても、奇跡が起こらない限り、まず無理と言っていいだろう。

 すでに、麻生首相が進めている定額給付金には、8割近くの人が納得していないことが、報道各社の世論調査で明らかだ。

 障害を乗り越えるには、説得するだけの根拠、熱意、そして資質が必要だ。麻生首相の場合、根拠や熱意があったとしても、資質に欠けている。「この首相が言うことなら」という信頼感がまるでない。説得責任には全人格的な幅広い能力が求められるのだ。

 ひるがえって、今の政界をみると、説得責任を果たせる政治家がどこにいるのだろうか。地位が人をつくるとはいえ、すぐには思い浮かばないところに、今の政治状況に対する憂鬱がある。

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2008年12月14日 (日)

政権基盤のない首相を抱く不幸

 自民・公明両党が12月12日にまとめた税制改正大綱に、麻生太郎首相が主張していた「消費税率の3年後の引き上げ」が公明党を中心とする反対で盛り込まれなかった。また、2200億円の社会保障費の抑制幅を小さくする財源として首相らが検討していた「たばこ税」の増税案も、自民党内の反発で見送られた。これらは、麻生首相の求心力が、内閣支持率の急落とともに、急速に落ちていることの証左だろう。

 麻生首相は12日夕の記者会見で、3年後の消費税率引き上げを重ねて主張したが、首相のどこに、そんな大仕事をやり遂げるだけの政治力があるのだろうか。

 政権を司る宰相にとって、政権基盤は極めて重要である。それがなければ政策遂行はおぼつかない。

 例えば、小泉純一郎首相が就任するまで、自民党では1955年の結党以来、派閥の会長が首相を務めてきた。例えば、鳩山、石橋、岸、池田、佐藤、田中、三木、福田、大平、鈴木、中曽根、竹下、宮沢、森。例外は宇野、海部、橋本(その後、橋本派を次いだが、首相就任時点では小渕派所属だった)だけだ。

 これは、自派と友好派閥で多数派を形成して政権基盤とし、政権運営をしてきたことを意味する。故に、弱小派閥出身の首相は政権運営に苦しむことになる。ロッキード事件の徹底解明を目指していた三木武夫首相は猛烈な「三木降ろし」にあって解散権を封じられ、任期満了選挙での敗北の責任をとって辞任した。

 三木派を引き継ぐ河本派に所属していた海部俊樹氏は、当時最大派閥だった竹下派の全面的な支援で1989年に就任し、1991年に小選挙区制を導入する政治改革法案の廃案を受けて衆院解散・総選挙に打って出ようとしたところ、竹下派の猛反対にあい、総裁選への不出馬という形で辞任させられた。

 こうした構図を大きく変えたのが小泉氏だった。小泉氏が郵政民営化などの構造改革を推進できたのも、圧倒的な国民の支持を政権基盤とし、自民党内の反対派を押し切ることができたためだ。

 ひるがえって、麻生首相の政権基盤は、ないに等しい。麻生氏は20人の弱小派閥を率いているだけだし、自民党内で求心力もない。首相就任前に取りざたされた国民的な人気も、ふたを開けてみたらあると言えるほどのものではなかった。

 こうした状況で政権を維持できているのは、無責任な政権投げ出しが安倍、福田と二代続いており、三人目となれば次期衆院選で自民党は国民の支持を得られないという選挙事情と、ポスト麻生候補が見当たらないという人材枯渇が理由だ。つまり、麻生政権は就任後、臨時国会での衆院解散を見送った時点ですでにレームダック(死に体)状態であり、麻生首相ははじめから思い通りには政策遂行できない状態なのである。麻生首相はそうした実態を理解しているのであろうか。「まんが宰相」には理解できまい。

 日本国民は、アメリカ発の金融危機の中、政策遂行能力のない政権を抱き、次期衆院選までの時間を無為に過ごさざるを得なくなっている。これは国民にとって不幸に極みだ。こうした状況を打開する唯一の方法は、衆院を解散し、新しい体制の下で、金融危機後の日本を作り上げることである。

 とはいえ、麻生首相には、もはや解散権すらないとみた方が妥当だ。先に述べた、三木首相や海部首相、非自民連立の羽田孜首相は解散権を行使できなかった。いずれも自らの政権基盤を持たない「弱い首相」だった故であり、麻生首相も同様だからである。

 その三木、海部、羽田三氏の時代よりも今が不幸なのは、自民党内でまともな政局判断ができる人材がいないことだろう。つまり日本という国家は、荒波の中、船長がいないまま彷徨い続けているのと同じ状況なのである。

 自民党を選んできたのは日本国民自身なのだが、2007年夏の参院選で民意が示したように、すでに国民は自民党を、政権を担当するに足る政党とは認めていない。

 自民党は2009年度予算を理由にすることなく、速やかに衆院を解散するよう良識を働かせてほしい。それが国会議員たるものの最後の務めだと思うのは、私だけであろうか。

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2008年12月11日 (木)

◆政治情勢レポート(3)Ver.2◆2008年12月11日

●内閣支持率急落、危険水域に

 麻生政権が「危険水域」に達している。前週末、報道各社が行った世論調査によると、麻生内閣の支持率は20%台前半にそろって落ち込んだ(朝日22%、毎日21%、読売20.9%、共同25.5%)。この前の週に産経新聞と日本経済新聞が行った世論調査では、30%前後だった(産経27.5%、日経31%)ことから、この一週間で約10ポイント落ち込んだことになる。

 9月の内閣発足直後は50%前後だった(朝日48%、毎日45%、読売49.5%、産経44.6%、日経53%)ので、約20%低下したことになる。30%前後という支持率は、福田内閣退陣直前の水準とほぼ同じであり、麻生内閣の支持率は放物線の軌跡のように下落し、支持率的にはいつ退陣してもおかしくない段階に達している。

●経済政策「無策」を露呈

 なぜそうなったのか。その原因の一つは、経済政策をめぐる無策ぶりを露呈したことだ。

 読売の調査によると、内閣を支持しない理由は「政策に期待できない」32%が最も多く、内閣が今の経済情勢に「的確に対応していない」と答えた人は83%、追加景気対策のための第2次補正予算案提出を年明けに先送りしたことを「妥当ではない」と答えた人も67%に上った。

 首相は10月30日、追加経済対策の発表に当たって、「道路特定財源の一般財源化に際しましては、1兆円を地方に移します」と表明し、首相はその後、1兆円は地方が自由に使えるお金、と記者団に強調した。

 これを素直に読めば、道路特定財源を一般財源化し、その中から地方自治体が自由に使途を決められるよう1兆円を「地方交付税」として交付する、と受け取れる。

 しかし、既得権益を死守しようとする自民党道路族の反発にあい、結局、地方向けの1兆円の交付金を創設し、その「8割ぐらいは道路に使わせていただく」(谷垣禎一元国土交通相)ことになった。小泉政権で種をまいた一般財源化は結局、道路予算の焼け太りという実をならせ、道路族が満面の笑みでそれを刈り取るという構図になった。

 麻生首相は「1兆円を地方に」とアイディアを示したに過ぎず、それを国会に予算と根拠法を提出して実現に移す政治力は欠いていたということだろう。自らのアイディアをひっくり返されても、それを巻き返す力もなかった。古賀誠という強面の重鎮を頭とする道路族を従わせる「統治能力」のかけらもなかった。

●資質欠く、KYな「まんが宰相」

 麻生太郎首相の「宰相としての資質」の問題も、内閣支持率を押し下げる要因になっている。

 麻生首相が資質を欠く例としてあげられるのが、国語力の欠如である。つまりKY(漢字が読めない)だ。

 麻生首相は「踏襲(とうしゅう)」を「ふしゅう」、「頻繁(ひんぱん)」を「はんざつ」、「未曾有(みぞう)」を「みぞうゆう」と読んだ。本人は読み間違いと釈明しているが、おそらく漢字の読み方を知らなかったのだろう。

 首相はこれまで、まんがなどサブカルチャーにも理解があると、いい意味で受け止められていたが、まんがの読み過ぎが裏目に出た形だ。 

●岡本全勝秘書官が火種

 さらに問題なのは、首相のこうした間違いを、事前に防ぐシステムが確立されていないことである。普通の秘書官チームなら、首相の漢字の読み間違い(麻生首相の場合は、国語力の欠如)を指摘したり、ホテルのバー通いが、いかに一般の国民の感覚から遊離しているかを、諫言したりして当然だろうが、そうしたことが行われている形跡はない。

 小泉政権では、飯島勲秘書官の下、各省から派遣された首相秘書官、参事官が結束し、5年以上にわたって「小泉チーム」として政権運営にあったったが、麻生官邸にはそうした首相への忠誠心や結束力が感じられない。

 その理由の一つは、各省から送られた秘書官が、麻生内閣は「選挙管理内閣」とみて、腰掛けのつもりでいるからだ。

 さらに、麻生首相が総務相時代の秘書官である岡本全勝(まさかつ)氏を首相秘書官に抜擢し、首相秘書官を異例の6人体制にしたことも、官邸チームの一体感をなくしている。これまで筆頭の事務秘書官として君臨していた財務省出身者はイニシアティブを発揮することができず、各省、特に財務省との連携がうまく取れていない。

●前代未聞の同意人事案取り下げ

 こうしたことの弊害が、公正取引委員会委員に上杉秋則・一橋大大学院教授(元公取委事務総長)を充てる同意人事案をめぐって出てきた。

 この人事案、いったん閣議で国会に提示することを決めたにもかかわらず、上杉氏が弁護士でないのに、匿名の著作で弁護士の肩書を使っていたことが野党の指摘で明らかになり、参議院本会議の直前になって、急きょ取り下げた。2007年夏の参院選での自民党惨敗による「ねじれ国会」で、政府が国会に提示した同意人事案が野党の反対で否決され、不同意となる例はあるが、政府側の不手際により本会議直前で取り下げるのは異例中の異例で、政府の大失態といってもいい。

 問題は、なぜそのようなことが把握できなかったのか、また野党から指摘があったにもかかわらず、当初そのまま国会に提示しようとしたことだ。政府がこの程度のことを把握できないはずがない。今回、このような事態に至ったのは、官邸内が緩みきっている証拠と言っていい。その原因が首相の統治能力のなさに起因していることは容易に想像できる。

 衆院解散・総選挙を早く行っていれば、選挙前にそうしたことも表面化しなかったのだろうが、ためらっているうちに地が出てしまったということだろう。内閣支持率の急落は、解散先延ばしの必然的帰結なのである。

●小沢氏の「超大連立構想」

 こうした状況に、 民主党の小沢一郎代表が、「超大連立」構想を提唱し始めた。麻生首相の早期退陣を視野に入れ、与野党各党に選挙管理内閣への参加を呼びかけるものだ。小沢氏は以前、福田首相にも大連立を呼びかけており、小沢氏の持論といってもいいだろう。

 ただ、与党側がこの構想に応じるとは考えられない。実際、河村建夫官房長官は12月2日の記者会見で「政府部内で話し合われたとか、考えているかということは一切ない」と否定した。さらに、他の野党の協力が得られるかどうかも不透明なので、小沢氏の狙いは、麻生政権の行き詰まりを印象づけ、早期の衆院・解散に追い込むことにあるのだろう。
民主党は大連立や政界再編の動きを警戒している。なぜなら、このまま麻生内閣の低迷が続けば、麻生内閣は自滅し、政権が転がり込んでいるからであり、わざわざ政界再編に巻き込まれることはないからだ。

 むしろ、民主党は、定額給付金を実施するための2008年度第二次補正予算案と関連法案が審議される通常国会に焦点を当てている。定額給付金は、11月の共同通信世論調査で「評価しない」人が6割に迫るなど、国民の評価は芳しくない。国民の反発を考慮すれば、衆院で「3分の2」の多数を使って再可決し、成立させることはできない。

 民主党のねらい目はまさにそこで、給付金を徹底攻撃することで、与党から造反議員が出ることを促す作戦だ。

 自民、公明両党の衆院議席は335議席。3分の2で再可決するには319議席が必要で、与党から17人が造反すれば、再可決できない。麻生首相が重要政策に掲げる給付金が実現できなければ、麻生首相は退陣するか、衆院を解散するかの選択を迫られる。

●自民内で「麻生離れ」加速

 こうした麻生政権の沈みゆく「泥船」状況に、倒閣運動の動きが活発になってきた。その震源地の一人が渡辺喜美元行革担当相である。

 7日朝にはフジテレビの新報道2001で、失言などで麻生太郎首相の求心力が低下していることに関連し、「選択肢としてはいろいろあり得る。倒閣運動をやるときは腹をくくる」と、退陣を求めていく可能性に言及した。

 これに先立ち、渡辺氏と、自民党の塩崎恭久・元官房長官、茂木敏充・前行政改革相ら中堅・若手議員24人は11月21日、河村建夫官房長官に対し、2008年度第2次補正予算案を今の臨時国会に提出するよう申し入れた。

 麻生首相は2次補正の提出を来年の通常国会に先送りする方針を明言しており、塩崎氏らの行動は明らかに麻生首相に反旗を翻したことになる。

 塩崎氏らの行動に対し、自民党内では単に総選挙を意識した国民向けのパフォーマンスとの見方もあるが、24人には、先の総裁選で経済政策などをめぐって首相と最も対立した小池百合子元防衛相の推薦人が渡辺氏ら3人、石原伸晃幹事長代理の推薦人も塩崎氏ら3人含まれており、小泉改革を推進してきた「改革派」が中心となっているところが意味深だ。

 さらにこの動きは、内閣支持率の急落後の今月9日には、参加者が48人と倍増するなど、「麻生離れ」加速の象徴とされている。

 自民党内にポスト麻生候補が見当たらないことから考えると、彼らの行動が即、倒閣運動にはつながらないだろうが、麻生内閣から体力を失わせるには十分だ。

 さらに、麻生首相がこの先、余りにも失態を繰り返すようだと、野党提出の内閣不信任決議案に、自民党から同調者が出て可決され、首相退陣に追い込まれるか、衆院解散から政界再編にまで一気に進むことがないとも限らない。

 その前に、麻生首相自身が退陣を決意しなければならない状況にならない保証はない。

 麻生首相の役割は、9月の自民党総裁選後、一気に衆院解散・総選挙になだれ込み、その勢いで与党に過半数をもたらすことであった。麻生首相はこれまで失言癖が指摘されてきたが、総理・総裁としての資質よりも、国民的な支持があるということが、総裁選出の最大の理由とされた。

 金融危機で解散が先延ばしされ、総理・総裁としての資質が問題されるようになったのも、当然の成り行きなのである。

●背景に中川秀直氏?

 問題は、こうした動きの背景で、自民党の中川秀直氏が暗躍しているのではないかとの見方があることだ。

 中川氏は、小泉政権後も改革継続を訴える「改革派」「上げ潮派」。麻生首相が郵政民営化の見直しを示唆した際には、激しく批判した。

 中川氏は、9月の総裁選で支持した小池氏らとともに社会保障に関する議員連盟を結成する方向だ。渡辺、塩崎両氏もメンバーに加わる方向なので、この議員連盟が反麻生派の拠点となる可能性はある。

 一方、小泉純一郎元首相は今月9日に発足した、自民党の議員連盟「郵政民営化を堅持し推進する集い」に顔を出し、 「あの3年前の(郵政)選挙がどういう選挙であったか思い起こしていただきたい。何やら不可解な行動をしている方々の多くは、元々郵政民営化に反対。しかし、誓約書まで書いて、間違いだったと(認めて)復党した」 と語気を強めた。

 小泉氏は首相退陣表明後、表舞台に出ることを避けていたが、麻生内閣で郵政民営化反対組が次々と政権中枢に入り、民営化見直しの機運が出てきたことへの危機感から、表舞台に復活した形だ。

 小泉氏の人気は依然高い。次期衆院選では次男の進次郎氏に地盤を譲ることを表明しているが、郵政民営化をめぐる麻生首相の出方次第では、小泉氏が反麻生派結集の軸になる可能性は捨てきれない。

●衆院選は都議選前?

 麻生首相の手で解散をすると仮定すると、解散のタイミングには次の4つがある。(1)1月召集の通常国会冒頭(2)2009年度予算と関連法成立後の4~5月(3)通常国会会期末の6月(4)任期満了の9月10日だ。

 麻生首相は11月14日、金融サミット出席のため訪れたワシントン市内のホテルで、同行記者団と懇談し、衆院解散・総選挙の時期について「1994年の予算の成立は6月。景気を決定的に悪くした。景気対策を考えたら、予算は年度内に(成立させ)きちんとスタートさせるのが大事」と述べた。

 これは、衆院解散は2009年度予算と関連法成立後に行う意向を示唆したものと受け取られている。予算関連法の成立に民主党が協力すれば解散は4月、協力しなければ5月になるだろう。

 麻生首相が景気のことを考え、予算こそ内閣最大の仕事だと考えるならば、予算および予算成立後の解散が現実的な対応だろう。

 通常国会会期末の解散は、自民党と連立を組み、自民党が選挙での組織的な支援を期待する公明党が重視する東京都議選(7月22日任期満了)の日程と重なるか近くなるため、公明党の理解を得られるかどうかが問題となる。公明党はこれまで、都議選と衆院選の間を最低3カ月間あけるように主張してきた。二つの選挙が近いと、支持者が十分活動できないとの理由からだ。

 麻生首相は例年1月20前後に召集している通常国会を、1月上旬にも召集し、2008年度第2次補正予算案を提出する意向を表明している。通常国会の延長がないと仮定すると、会期末は6月上旬。会期末に解散すれば、総選挙は6月下旬から7月上旬となる。

 一方、都議会の任期満了は09年7月22日。公選法上、都議選の投票日は6月28日か、7月なら5日、12日、19日のいずれか。通常国会会期末の解散なら、都議選とはダブル選挙か、それに近い形になるが、それを公明党が受け入れるかどうか。

 ダブル選挙を避けた場合、公明党に配慮したと言われ、票を減らすと麻生首相が判断すれば、あえてダブル選挙に持ち込むかもしれない。

 解散・総選挙に日程設定には、来年7月8日から10日までイタリアのマッダレーナ島で開かれるG8サミット(主要国首脳会議)も考慮する必要がある。

●任期満了後の奇策も?

 来年9月の任期満了、もしくはそれに近い総選挙はどうか。任期満了に近づけば近づくほど、麻生首相の求心力はなくなり、解散権を行使できなければ、それこそ命取りになる。三木武夫首相が解散権を行使できず、新憲法下で唯一の任期満了選挙に追い込まれ、政権の座から引きずり下ろされたことを考えれば、麻生首相が任期満了選挙を避けたいという気持ちも理解できる。

 予算および予算関連法成立後の解散で、公明党が要求する「3カ月条項」を満たすには、総選挙を9月10日の任期満了後に総選挙を行わなければならない。

 前述の小泉純一郎元首相の政務秘書官、飯島勲・駒澤女子大学人文学部客員教授は「最終的には10月末まで投票日を延ばす選択肢の幅がありうる」と指摘している。

 それによると、公職選挙法31条1項「衆院議員の任期満了に関る総選挙は、議員の任期が終る日の前30日以内に行う」に従えば、9月10日の任期満了より前の投票となる。投票日を日曜日に限定すると、「前30日以内」で可能性があるのは8月の16日、23日、30日か、最も遅くて9月6日だ。

 同時に、同条2項は「総選挙を行うべき期間が国会開会中又は国会閉会の日から23日以内にかかる場合においては、その総選挙は、国会閉会の日から24日以後30日以内に行う」としている。仮に任期満了の09年9月10日まで国会を開いている場合、この条項に該当する。10日閉会なら30日後は10月10日の土曜日。日曜日投票に限ると、閉会から24日後の「10月4日投票」が可能ではある。

 さらに同条3項は「衆院の解散に因る衆院議員の総選挙は、解散の日から40日以内に行う」と定めている。国会を開いたまま9月10日に解散し、この条項が適用できれば、40日後は10月20日の火曜日。日曜日投票に限ると、最も遅くて「10月18日投票」という設定も可能になるというわけだ。

 ただ、ここまで公明党の「3カ月条項」に配慮した場合、創価学会の支援は得られても、国民の支持を失う可能性があり、かなりの奇策であることには間違いない。

●総裁選前倒し論が浮上

 ただ、こうした総選挙の日程設定は、麻生首相が続投し、麻生首相自身が解散権を行使することが前提の話だ。しかし、「麻生首相では選挙を戦えない」との意見が、この先強まれば、選挙前に退陣する可能性が出てくる。

 麻生首相の総裁としての任期は来年9月。もし麻生首相が任期前に退陣することになれば、自民党総裁選の前倒し実施という形で、総裁・首相の交代が図られる。

 通常、新しい首相が登場した直後には「ご祝儀」もあり、与党への追い風が期待できる。このため、麻生首相は退陣を決意するなら、その時期を慎重に見極めるだろう。

 想定できるのは、野党の反対で成立が遅れる可能性がある2009年度予算関連法案の早期成立と引き替えに、首相が退陣するというシナリオだ。自民党は直ちに新しい総裁を選出し、間をおかずに衆院解散・総選挙になだれ込むだろう。

 ひょっとしたら、それが自民党にとって、政権を維持する唯一の方法になるのかもしれない。

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2008年12月10日 (水)

米大統領選講義ノート(4)その2「日米同盟の再構築―日米安全保障戦略と米軍再編―」ケント・カルダーSAIS教授

 ダレスは1951年、サンフランシスコ講和条約の立役者で、当時、日本にとって米国は相手にすべき唯一の国だったが、いまはそういう時代ではない。2006年、日中の貿易は日米を超した。投資は日米間は活発ではない。中国は経済的にはGNPは2%にしか過ぎず、まだまだだ。技術的にも日米は強い関係だが、関係は変わりつつある。ダレスの時代ではない。

 日米とも国内の変化がある。米国の変化は中国系が400万人で、日系は80万人。アジア系、日系は12年前まで割合は大きかったが、いまは中国系が大きくなった。特にカリフォルニアでは、政治的に大きい。

 貿易でみると、日米にいい方に変わってきた。労組の組織率は15%くらい。90年には25%で、組合の力が減速している。90年代の状況は貿易戦争だった。組合が強く、貿易も不均衡だった。ジャパンパッシング、アメリカパッシングは、いいか悪いかは別にして、分かるところはある。

 米国人は、もっと日米関係のあらゆる側面を理解すべきだ。構造的変化は承知している。課題設定で競争が多くなっている。

 日本は「見せる意味」が重要になっている。北朝鮮の拉致問題をみると、いま述べたプロセスがどう機能するのかが分かる。北の問題が政策メディアの中でどう扱われるべきかが不可欠になっている。

 もう一つ、安保そのものについて話したい。戦略の環境が変わっている。テロはワールドトレードセンターだけでなく、インドでもバリでもあったし、新幹線が攻撃対象になる可能性もある。日本ではサリンの事件もあり、何が起きるか分からない。10年前より問題は深刻になっている。

 ミサイル防衛の問題では、北朝鮮、中国の能力は上がっている。1996年、ミサイルが与那国の近くまで飛んできた。日米が協力する必要がある。キャンプ座間は対応する重要なポイントだ。沖縄から海兵隊を移転し、グアムで対応しようとしている。運用面も見直されている。オバマ政権になってもいままでの努力は継続される。ゲーツ、ジョーンズ。ダウンサイジングも発表されると思うが、米国の安保は超党派の取り組みになる。

(結論)

 日米関係、何ができるのか。変革、テロ、ミサイル、シーレーン、重要問題がある。一方、政治的には不安定の様相だ。国内政治、日米とも変化がある。待っているだけではいけない。マンスフィールドが言うように、先取りして対応していかねばならない。

 広報活動、人的要望に答えること、エネルギー供給、エネルギーはほとんど中東から。シーレーン守らねば。日米の外交官だけでなく、NGOが大事。二国間の理解を進めるため、何ができるか、日米協会は米国で弱くなっている。日本はNYをみているのではないか。ワシントンで強化する必要がある。

 ブッシュは小泉をグレースランドに招待した。中曽根はレーガンを日の出山荘に招いた。象徴的な行動が重要になる。共同プロジェクトができる可能性がある。DC、NYを結ぶ高速鉄道。ジャパンパッシングへの対応、ジャパンパッシングへの対応で、新幹線の技術を米国に供与することあり得る。

(まとめ)

 日米関係は超党派で維持されてきた。ダラスは共和党だが、民主党のトルーマンに仕えた。私もライシャワー、フォーリー両方に伝えた。オバマはグローバルな視野を持った人。東南アジアに5年住んでいた。ハワイにも。グローバルな問題を理解する能力を持っている。私は楽しみにしている。オバマの回顧録にあったように、とても小さかったころ、鎌倉を訪れた。インドネシアに行く途中、帰る途中。様々な形でコンタクトをとることできる。日米関係でもそういう姿勢をみることができる。

(To be continued)

(2008年12月1日、東京アメリカンセンターにて)

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2008年12月 9日 (火)

米大統領選講義ノート(4)その1「日米同盟の再構築―日米安全保障戦略と米軍再編―」ケント・カルダーSAIS教授

 より広いグローバルなコンテキストから日米関係を見たい。最近、本を二冊出版した(「米軍再編の政治学」「日米同盟の静かなる危機」)。根本的には、問題提起する本だ。日米が直面する課題について提案している。他の3つの国、米英、米独、米中と比較して議論している。日米同盟を改善するヒントが得られる。日本政治を米英などと比較して、違った角度から見る。独特の歴史がある。敵だった国が同盟を結ぶ。私は三人の駐日大使に仕えた。個人的に日米関係を重視している。関係を改善するには、比較が重要だ。

 第一に、米軍受け入れ国の政治学。日本の基地マネージメントは比較的成功している。独立国家に外国の基地が置かれるのは、歴史的に特異で、珍しいことだ。1930年代にタイに日本軍が基地を置いたことはあるが、それは特別なことだ。日米はかなり敵対していたが、それが同盟関係になり、比較的安定しているのは珍しい。

 フィリピンから米軍は撤退した。韓国はいくつかの問題があった。最も成功しているのはドイツとイタリアと日本。これは歴史的要素がある。帝国主義のあとに解放者として入ってきた国の基地が残っている。フィリピンも50年間残った。帝国主義だと基地は撤退する。解放的占領だと違う。1943年に新しいイタリア政府ができ、米国との関係が始まる。最も安定した友好関係の一つ。解放的占領だった。自由をその国で推進しようとした。韓国の場合は少し曖昧。

 日本の基地が安定した要素は、防衛施設庁の要素がある。問題があると、早急に対応できる珍しい組織だ。イタリアは地元の市長と近い関係を築くが、国レベルとの連携は密に取れない。韓国にはピョンテク(平沢)があるが問題解決には時間がかかる。地元の代表機関がない。日本には日米防衛委員会があり、タマネギのスライスだという人がいるが、NATOよりもずっとうまく機能している。

 もう一つ大事なのは、財務関係、財政的側面。問題があったときに支援する。土地の地権者に財政的支援、賃貸料が高くなっている。沖縄は安定しすぎている。動かせないまでになっている。お金がかなり落ちている。なかなか基地を動かせない。基地へのお金が増えている。基地が安定する要素になっている。利害関係が安定している。世界的に異例だ。戦略的に、日本にも同盟国にもよいことだ。シーレーンに近く、中国に近い。戦略的要衝で安定していることはいいことだ。日本の基地相対的に安定していた。日米安保がいまでもこういう形で進むことが望ましい。

 米国外で空母の母校化は横須賀だけ。受け入れ側で大きな政治的変化があると、スペイン、ギリシャ、韓国、フィリピンでも会ったが、双方の国は基本的構造を維持しようとする。交渉の期間はある程度続く。いずれにしても、過渡期には政治的変化がある。広報も重要。米駐留軍を知ることも重要だ。同盟を極端な方向に持っていかないこと、双方が合意できる範囲でとどまることが重要だ。

 受け入れ側に、基地の存在についてのコンセンサスがなければいけない。地元の安保感でなければいけない。安保とは何か、なぜ米国でなければいけないか、共通の理解が存在しているべきだ。そうしなければ安定性が保てない。同盟がどう動いてきたか、幅広く認識しなければならない。

 中国が保護主義になると言われるが、日米同盟がどうなりそうか、安定していると思うが、アーミテージの時代ではない。

 今日の日米同盟における課題は、構造的なものがある。今日の日米の課題は、構造が変わっている。これは克服可能だ。努力、真剣な理解、新機軸が必要だ。克服可能だが、深刻な大きな構造的な問題を、認識されていないことが問題だ。

(To be continued)

(2008年12月1日、東京アメリカンセンターにて)

…………………………………………………………………………………………………

ケント・E・カルダー博士【ジョンズ・ホプキンス大学高等国際研究大学院(SAIS)エドウィン・O・ライシャワー東アジア研究センター所長・教授】

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2008年12月 8日 (月)

必然的帰結の支持率急落

 麻生内閣の支持率が前週に続いて急落し、20%台前半に落ち込んだ。読売新聞社が5日から7日まで電話方式で実施した全国世論調査で、内閣支持率が20.9%となり、11月初めの前回調査40.5%から、ほぼ半減する一方、不支持率が66.7%と約25ポイント跳ね上がったのだ。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20081207-OYT1T00561.htm

 また、毎日新聞が6、7両日に行った電話による全国世論調査でも、支持率は21%と、10月の前回調査から15ポイント下落した。

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081208k0000m010073000c.html

 産経新聞と日本経済新聞がその前の週に行った全国世論調査では、内閣支持率はそれぞれ27.5%、31%とおおむね30%前後だったので、この一週間の間に10ポイントも急落したことになる。麻生内閣の支持率下落はまるで、放物線の軌跡のようだ。

 福田首相の退陣表明直前の報道各社による内閣支持率はおおむね30%前後なので、20%前半という支持率は、首相退陣の危険水域とされる30%をも割り込んだことになる。

 なぜそうなったのか。その一番の原因が、経済政策をめぐる無策ぶりを露呈したためだろう。

 読売の調査によると、内閣を支持しない理由は「政策に期待できない」32%が最も多く、内閣が今の経済情勢に「的確に対応していない」と答えた人は83%、追加景気対策のための第2次補正予算案提出を年明けに先送りしたことを「妥当ではない」と答えた人も67%に上った。

 首相は10月30日、追加経済対策の発表に当たって、「道路特定財源の一般財源化に際しましては、1兆円を地方に移します」と表明し、首相はその後、1兆円は地方が自由に使えるお金、と記者団に強調した。

 これを素直に読めば、道路特定財源を一般財源化し、その中から地方自治体が自由に使途を決められるよう1兆円を「地方交付税」として交付する、と受け取れる。

 しかし、既得権益を死守しようとする自民党道路族の反発にあい、結局、地方向けの1兆円の交付金を創設し、その「8割ぐらいは道路に使わせていただく」(谷垣禎一元国土交通相)ことになった。小泉政権で種をまいた一般財源化は結局、道路予算の焼け太りという実をならせ、道路族が満面の笑みでそれを刈り取るという構図になった。

 麻生首相は「1兆円を地方に」とアイディアを示したに過ぎず、それを国会に予算と根拠法を提出して実現に移す政治力は欠いていたということだろう。自らのアイディアをひっくり返されても、それを巻き返す力もなかった。古賀誠という強面の重鎮を頭とする道路族を従わせる「統治能力」のかけらもなかった。

 衆院解散・総選挙を早く行っていれば、選挙前にそうしたことも表面化しなかったのだろうが、ためらっているうちに地が出てしまったということだろう。内閣支持率の急落は、解散先延ばしの必然的帰結なのである。

 付言すれば、谷垣氏は20世紀末、次代を担う政治家と期待されたが、結局、利権重視の普通の自民党の政治家に成り下がったようである。

 こうした麻生政権の沈みゆく泥船状況に、やっぱりというべきか、倒閣運動の動きが活発になってきた。その震源地が渡辺喜美元行革担当相である。

 7日朝にはフジテレビの新報道2001で、失言などで麻生太郎首相の求心力が低下していることに関連し、「選択肢としてはいろいろあり得る。倒閣運動をやるときは腹をくくる」と、退陣を求めていく可能性に言及した。

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/081207/stt0812071742000-n1.htm

 渡辺氏が今後、実際にどのような動きをするのかは分からないが、麻生政権の低迷が続くようだと、1993年の細川政権発足前後のように、自民党に見切りを付ける動きが出てくるだろう。

 こうした状態に、「麻生じゃ通常国会はもたない」と漏らしている民主党の小沢一郎代表はほくそ笑んでいるに違いない。政権担当能力がない麻生首相が、いくら解散を先延ばししても深みにはまるだけ。いずれ選挙があれば、民主党が勝ち、自らが執念を傾けてきた選挙による政権交代が実現する。そのシナリオは今のところ順調に進行し、クライマックスは間近だ--と。

 確かに、読売の調査によると、次期衆院選後に自民党中心の政権を望む人は12%に過ぎず、政権党としての自民党はすでに賞味期限は過ぎ、国民に飽きられている。次の衆院選は自民か民主かの政権選択を迫る選挙になるのは確実だ。

 しかし、それは同時に、浮かんでは消えてきた「小沢一郎首相」就任の是非を問う選挙にもなる。日本政治はこの15年間、良きにつけ悪しきにつけ、「小沢か非小沢か」を軸に進んできた。その構図がいまもなお、変わっていないことは、日本政治の貧困というべきだろう。

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2008年12月 4日 (木)

古い自民党の復活か

 政府が12月3日、来年度予算編成の基本方針を閣議決定した。

http://www.asahi.com/politics/update/1203/TKY200812030301.html

 社会保障費の伸びを2200億円抑制することや公共事業費の3%削減などを定めた概算要求基準(シーリング)は「維持」するとしたものの、これまでの「堅持」からはトーンダウンしている上が、その枠外で財政出動を容認する方針も盛り込んでいる。

 麻生太郎首相自身、景気対策と財政再建は「両立しないわけでもなんでもありません」と述べている。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/081203/plc0812032127013-n1.htm

 しかし、今回の予算編成方針により、小泉純一郎元首相が進めた財政再建路線を事実上、棚上げするものと受け止められている。

 麻生首相はもともと経済政策を重視しており、国際的な金融危機を受けて、各国が財政出動により有効需要を創出することで景気を下支えしようとしており、麻生首相が財政出動を増やす政策をとっても不思議はない。問題はその内容である。

 麻生首相は道路特定財源の一般財源化という福田康夫前首相が打ち出した政策を引き継ぐ考えを表明している。これは、小泉元首相ですら切り込めなかった道路族議員と官僚にとっての「聖域」だ。麻生首相が一般財源化を成し遂げられるかが、この政権の力量を見極める試金石といってもいいかもしれない。

 私自身、麻生首相は宰相の器でないと再三強調し、早期に衆院解散・総選挙を行うよう、当ブログでも求めてきたが、麻生首相がもし一般財源化を成し遂げたら、その評価が変わるかもしれない。

 麻生首相の一般財源化に伴う景気対策として、使途を限定しない地方交付税として1兆円を自治体に配分する方針を表明していた。しかし、道路整備の遅れを懸念する自民党の道路族議員らが麻生首相支持の見直しにまで言及して激しく反発し、結局、1兆円は道路整備など公共事業に充てられる新たな交付金「地域活力基盤創造交付金(仮称)」に化けてしまった。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20081202-OYT1T00619.htm

 問題の第1は、公共事業によって本当に経済が活性化し、景気浮揚するのかという点だ。確かに1990年代まで公共事業は有効需要創出効果、いわゆる乗数効果が高く、景気の活性化には有効だったことは確かであるが、最近ではその乗数効果は低く、公共事業は景気浮揚にはつながらないという見方が、政界と関係業界以外では支配的だ。こうした状況で公共事業を増やせば、関係業界の一部と、その業界の支援を受ける自民党議員だけが潤うことになりかねない。

 問題の第2は、やはり支持基盤の弱い首相の下では、有効な政策は取れないということである。麻生首相は党内にも党外にも強い支持基盤を持たない。麻生首相は国民に人気があるということで、選挙の顔として総理・総裁に選ばれたが、ふたを開けてみれば口ほどでなく、福田前首相以下ということが世論調査で明らかにされてしまった。総選挙をすれ負けてしまうような総裁に、党内の支持が集まるわけもない。つまりどこにも支持基盤がない。党内に支持基盤のなかった小泉元首相が圧倒的な国民の支持を背景に改革を推進したことを想起すれば、支持基盤の重要性は推して知るべしであろう。

 つまり無力、無能な総理・総裁が自身の目指す政策を推進しようとも、それが実現できることはなく、時間と貴重な財源を浪費するに過ぎないのだ。

 道路族議員の跋扈は、古い自民党の復活を思い起こさせる。もちろん、麻生首相にはそれを食い止める手だてもなく、その気概さえも見えない。

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2008年12月 2日 (火)

◆政治情勢レポート(3)◆2008年12月2日

●危険水域のKY政権

麻生政権は危険水域に達していると言っていい。前週末、報道各社が行った世論調査によると、麻生内閣の支持率は30%前後に低迷している(産経27.5%、日経31%)。9月の内閣発足直後は50%前後だった(産経44.6%、日経53%)ので、約20%低下したことになる。これは福田内閣退陣直前の8月の支持率とほぼ同じであり、麻生内閣は支持率的にはいつ退陣してもおかしくない段階に達しつつある。

では、なぜ麻生内閣の支持率がこれほど短期間に、ここまで落ち込んだのか。その最大の理由が、麻生太郎首相の資質の問題だ。

麻生首相の役割は、9月の自民党総裁選後、一気に衆院解散・総選挙になだれ込み、その勢いで与党に過半数をもたらすことであった。麻生首相はこれまで失言癖が指摘されてきたが、総理・総裁としての資質よりも、国民的な支持があるということが、総裁選出の最大の理由とされた。

金融危機で解散が先延ばしされ、総理・総裁としての資質が問題されるようになったのも、必然的な成り行きなのである。

麻生首相が資質を欠く例としてあげられるのが、国語力の欠如である。つまりKY(漢字が読めない)だ。

麻生首相は「踏襲(とうしゅう)」を「ふしゅう」、「頻繁(ひんぱん)」を「はんざつ」、「未曾有(みぞう)」を「みぞうゆう」と読んだ。本人は読み間違いと釈明しているが、おそらく漢字の読み方を知らなかったのだろう。

首相はこれまで、まんがなどサブカルチャーにも理解があると、いい意味で受け止められていたが、まんがの読み過ぎが裏目に出た形だ。 

さらに問題なのは、首相のこうした間違いを、事前に防ぐシステムが確立されていないことである。普通の秘書官チームなら、首相の漢字の読み間違い(麻生首相の場合は、国語力の欠如)を指摘したり、ホテルのバー通いが、いかに一般の国民の感覚から遊離しているかを、諫言して当然だろうが、そうしたことが行われている形跡はない。

小泉政権では、飯島勲秘書官の下、各省から派遣された首相秘書官、参事官が結束し、5年以上にわたって「小泉チーム」として政権運営にあったったが、麻生官邸にはそうした首相への忠誠心や結束力が感じられない。

その理由の一つは、各省から送られた秘書官が、麻生内閣は「選挙管理内閣」とみて、腰掛けのつもりでいるからだ。

さらに、麻生首相が総務相時代の秘書官である岡本全勝(まさかつ)氏を首相秘書官に抜擢し、首相秘書官を異例の6人体制にしたことも、官邸チームの一体感をなくしている。これまで筆頭の事務秘書官として君臨していた財務省出身者はイニシアティブを発揮することができず、各省、特に財務省との連携がうまく取れていない。

こうしたことの弊害が、公正取引委員会委員に上杉秋則・一橋大大学院教授(元公取委事務総長)を充てる同意人事案をめぐって出てきた。

この人事案、いったん閣議で国会に提示することを決めたにもかかわらず、上杉氏が弁護士でないのに、匿名の著作で弁護士の肩書を使っていたことが野党の指摘で明らかになり、参議院本会議の直前になって、急きょ取り下げた。2007年夏の参院選での自民党惨敗による「ねじれ国会」で、政府が国会に提示した同意人事案が野党の反対で否決され、不同意となる例はあるが、政府側の不手際により本会議直前で取り下げるのは異例中の異例で、政府の大失態といってもいい。

 問題は、なぜそのようなことが把握できなかったのか、また野党から指摘があったにもかかわらず、当初そのまま国会に提示しようとしたことだ。政府がこの程度のことを把握できないはずがない。今回、このような事態に至ったのは、官邸内が緩みきっている証拠と言っていい。その原因が首相の統治能力のなさに起因していることは容易に想像できる。

●小沢氏の「超大連立構想」

 こうした状況に、 民主党の小沢一郎代表が、「超大連立」構想を提唱し始めた。麻生首相の早期退陣を視野に入れ、与野党各党に選挙管理内閣への参加を呼びかけるものだ。小沢氏は以前、福田首相にも大連立を呼びかけており、小沢氏の持論といってもいいだろう。

 ただ、与党側がこの構想に応じるとは考えられない。実際、河村建夫官房長官は122日の記者会見で「政府部内で話し合われたとか、考えているかということは一切ない」と否定した。さらに、他の野党の協力が得られるかどうかも不透明なので、小沢氏の狙いは、麻生政権の行き詰まりを印象づけ、早期の衆院・解散に追い込むことにあるだろう。

●自民内に「反麻生」の動き

 とはいえ、与党側も麻生政権の低迷ぶりに、一枚岩とは言えない状況だ。

 自民党の塩崎恭久・元官房長官、茂木敏充・前行政改革相、渡辺喜美・元行革相ら中堅・若手議員24人は1121日、河村建夫官房長官に対し、2008年度第2次補正予算案を今の臨時国会に提出するよう申し入れた。

 麻生首相は2次補正の提出を来年の通常国会に先送りする方針を明言しており、塩崎氏らの行動は明らかに麻生首相に反旗を翻したことになる。

 塩崎氏らの行動に対し、自民党内では単に総選挙を意識した国民向けのパフォーマンスとの見方もあるが、24人には、先の総裁選で経済政策などをめぐって首相と最も対立した小池百合子元防衛相の推薦人が渡辺氏ら3人、石原伸晃幹事長代理の推薦人も塩崎氏ら3人含まれており、小泉改革を推進してきた「改革派」が中心となっているところが意味深だ。

 自民党内にポスト麻生候補が見当たらないことから考えると、彼らの行動が即、倒閣運動にはつながらないだろうが、麻生内閣から体力を失わせるには十分だ。

 さらに、麻生首相がこの先、余りにも失態を繰り返すようだと、野党提出の内閣不信任決議案に、自民党から同調者が出て可決され、首相退陣に追い込まれるか、衆院解散から政界再編にまで一気に進むことがないとも限らない。

●背景に中川秀直氏?

 問題は、こうした動きの背景で、自民党の中川秀直氏が暗躍しているのではないかとの見方があることだ。

 中川氏は、小泉政権後も改革継続を訴える「改革派」「上げ潮派」。麻生首相が郵政民営化の見直しを示唆した際には、激しく批判した。

 中川氏は、9月の総裁選で支持した小池氏らとともに社会保障に関する議員連盟を結成する方向だ。渡辺、塩崎両氏もメンバーに加わる方向なので、この議員連盟が反麻生派の拠点となる可能性はある。

●衆院選は都議選前?

 麻生首相の手で解散をすると仮定すると、解散のタイミングには次の4つがある。(1)1月召集の通常国会冒頭(2)2009年度予算と関連法成立後の4~5月(3)通常国会会期末の6月(4)任期満了の9月10日だ。

 麻生首相は1114日、金融サミット出席のため訪れたワシントン市内のホテルで、同行記者団と懇談し、衆院解散・総選挙の時期について「1994年の予算の成立は6月。景気を決定的に悪くした。景気対策を考えたら、予算は年度内に(成立させ)きちんとスタートさせるのが大事」と述べた。

 これは、衆院解散は2009年度予算と関連法成立後に行う意向を示唆したものと受け取られている。予算関連法の成立に民主党が協力すれば解散は4月、協力しなければ5月になるだろう。

 麻生首相が景気のことを考え、予算こそ内閣最大の仕事だと考えるならば、予算および予算成立後の解散が現実的な対応だろう。

 通常国会会期末の解散は、自民党と連立を組み、自民党が選挙での組織的な支援を期待する公明党が重視する東京都議選(7月22日任期満了)の日程と重なるか近くなるため、公明党の理解を得られるかどうかが問題となる。公明党はこれまで、都議選と衆院選の間を最低3カ月間あけるように主張してきた。二つの選挙が近いと、支持者が十分活動できないとの理由からだ。

 麻生首相は例年120前後に召集している通常国会を、1月上旬にも召集し、2008年度第2次補正予算案を提出する意向を表明している。通常国会の延長がないと仮定すると、会期末は6月上旬。会期末に解散すれば、総選挙は6月下旬から7月上旬となる。

 一方、都議会の任期満了は09722日。公選法上、都議選の投票日は628日か、7月なら5日、12日、19日のいずれか。通常国会会期末の解散なら、都議選とはダブル選挙か、それに近い形になるが、それを公明党が受け入れるかどうか。

ダブル選挙を避けた場合、公明党に配慮したと言われ、票を減らすと麻生首相が判断すれば、あえてダブル選挙に持ち込むかもしれない。

解散・総選挙に日程設定には、来年7月8日から10日までイタリアのマッダレーナ島で開かれるG8サミット(主要国首脳会議)も考慮する必要がある。

 来年9月の任期満了、もしくはそれに近い総選挙はどうか。任期満了に近づけば近づくほど、麻生首相の求心力はなくなり、解散権を行使できなければ、それこそ命取りになる。三木武夫首相が解散権を行使できず、新憲法下で唯一の任期満了選挙に追い込まれ、政権の座から引きずり下ろされたことを考えれば、麻生首相が任期満了選挙を避けたいという気持ちも理解できる。

 予算および予算関連法成立後の解散で、公明党が要求する「3カ月条項」を満たすには、総選挙を9月10日の任期満了後に総選挙を行わなければならない。

前述の小泉純一郎元首相の政務秘書官、飯島勲・駒澤女子大学人文学部客員教授は「最終的には10月末まで投票日を延ばす選択肢の幅がありうる」と指摘している。

それによると、公職選挙法311項「衆院議員の任期満了に関る総選挙は、議員の任期が終る日の前30日以内に行う」に従えば、910日の任期満了より前の投票となる。投票日を日曜日に限定すると、「前30日以内」で可能性があるのは8月の16日、23日、30日か、最も遅くて96日だ。

同時に、同条2項は「総選挙を行うべき期間が国会開会中又は国会閉会の日から23日以内にかかる場合においては、その総選挙は、国会閉会の日から24日以後30日以内に行う」としている。仮に任期満了の09910日まで国会を開いている場合、この条項に該当する。10日閉会なら30日後は1010日の土曜日。日曜日投票に限ると、閉会から24日後の「104日投票」が可能ではある。

さらに同条3項は「衆院の解散に因る衆院議員の総選挙は、解散の日から40日以内に行う」と定めている。国会を開いたまま910日に解散し、この条項が適用できれば、40日後は1020日の火曜日。日曜日投票に限ると、最も遅くて「1018日投票」という設定も可能になるというわけだ。

ただ、ここまで公明党の「3カ月条項」に配慮した場合、創価学会の支援は得られても、国民の支持を失う可能性があり、かなりの奇策であることには間違いない。

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2008年12月 1日 (月)

これでは「田母神疑獄」ではないのか

 やっぱりというべきなのか。田母神俊雄・前航空幕僚長の論文問題で、選考過程をめぐる不透明さが報道され始めた。

http://www.asahi.com/national/update/1201/OSK200811300062.html

 この問題に関しては、以前の本ブログ「政治的領域を侵した田母神論文」で、田母神氏と懸賞を主催したアパグループの元谷外志雄代表との親密な関係を指摘し、「最初から田母神空幕長に賞金を与えるために、懸賞という形を取った『賄賂』だった可能性がぬぐいきれない」と書き記した。

http://yoichitoyoda.cocolog-nifty.com/seiji/2008/11/post-b068-1.html

 前述の朝日新聞による報道が正しかったと仮定すると、選考の過程で何があったのかを詳しく調べ、真実を明らかにしなければならない。

 朝日の報道の通りであれば、現職公務員への多額の贈与、請託受託の関係にあれば賄賂となり、論文の内容にかかわらず、贈収賄事件の疑いが濃厚になるからだ。当事者にしてみれば、選考の透明性を巧妙に仕掛けたつもりかもしれないが、端から見れば、「バレバレ」なのだ。透明さを装うために、引っ張り出された高名な学者や「ジャーナリスト」にはご同情を申し上げる。もし、やましいことがないならば、今すぐにでも外部機関による検証を受け入れ、潔白を証明すればいい。

 論文の内容自体は稚拙なもので、とても将たるものの文とは思えないが、仮にその主張に正当性があったとしても、このような形で論文に高い評価が与えられるのは本意ではなかっただろう。

 この選考過程自体が「謀略」だったのかもしれないが、完全な失敗に終わった。ただ、自衛隊の作戦がこの程度だとは思いたくないので、謀略だったとは思わないことにしよう。

 田母神氏は自衛隊を去ったとはいえ、いろいろな問題を提起し、後味の悪さも残した。「李下に冠を正さず」。将たるものこの言葉を胸に刻み、論文の賞金も防衛省の退職金も辞退すべきである。

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